まつぼっくりが笑う

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「反日種族主義」李榮薫編著 読後感3

領土問題

それぞれの国において領土問題が最も大きな関心事になります。北方四島問題も一向に解決しません。外交による「話し合い」で解決することが非常に難しい問題です。理屈に合わない戦争のどさくさ紛れに勝ち取ったロシアは屁理屈をつけて返す気配はありません。結局国の力関係が反映されますから、強いロシアに日本は太刀打ちできません。

 

 では韓国と懸案になっている竹島(独島)はどうでしょうか。現在韓国が実効支配をしています。その歴史的背景を李栄薫氏は丁寧に記しています。日本の学者が主張した場合、韓国人は日本のご都合主義だと言って相手にしないでしょうが、韓国人の李氏が説明しているのですから説得力があります。

もっとも、それによって竹島が日本領になることはないでしょう。国際司法裁判所に提起して決着をつけようと日本政府がいくら言っても韓国政府は都合が悪いので取り合わないでしょう。領土問題という国民感情に大きな影響を与える裁判を国際司法裁判所といえども結論を出し、実行することは出来ないでしょう。

 

十七世紀末,朝鮮人の安龍福が鬱稜島に魚を取りに行き、日本の漁民と衝突します。その時、安は日本に連れていかれますが、鬱稜島が韓国領だと主張します。徳川幕府は朝鮮との外交交渉で鬱稜島は朝鮮領と認め、日本の漁民に鬱稜島に行くことを禁止します。安はその後再び日本に行きますが、日本漁民が松島と呼んでいた今の竹島(独島)を勘違いして朝鮮の領土だと主張します。鬱稜島のすぐそばの島だと思ったのです。実際の竹島(独島)は鬱稜島から八十七キロも離れた人の住まない岩の島だったのです。安が主張した島とは全く別の場所にあったのが竹島(独島)です。

 

その後時が下り、一九〇五年日本は竹島を自国の領土にします。竹島が朝鮮

王朝に所属していないことを確認したからです。朝鮮が日本の植民地になる五年前のことです。当時の大韓帝国はそれに対して異議を唱えませんでした。

 

第二次大戦後、李承晩大統領は一九五二年、いわゆる李承晩ラインを発表し

竹島を韓国領土に編入しました。その前年日米講和条約が結ばれるのですが、アメリカの見解は「竹島は韓国の一部として扱われたことがなく、日本の島根隠岐島の管理下におかれていた」というもので、これを韓国に通達したのです。しかし、アメリカは二国間の 紛争に介入しませんでした。

 

金大忠大統領はこの島を含んだ海を共同漁労区域に設定しようと提案しました。李氏はこのような冷静な態度が望ましいと言っています。そして人の住めない岩だらけの島とはいえ、最終的解決は遠い未来の世代に先送りしなければなりません。そうすることが出来れば、そうした判断力と自制力を持った国として、韓国は先進社会へと進歩して行けるでしょう。と結んでいます。本当の愛国者の言葉ではないでしょうか。