まつぼっくりが笑う

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「反日種族主義」李榮薫編著 読後感2

日韓併合と日本の植民地政策 

 

韓国で最も嫌われている日本人は豊臣秀吉だそうです。それは朝鮮侵略を行った大悪人だからです。もっとも秀吉は朝鮮を単なる通り道で狙いは中国にあったのですが、通り道でも甚大なる被害を受けた朝鮮としては許せない暴挙と思ったでしょう。

  

 時は下り、一九一〇年日韓併合により朝鮮は日本の植民地になりました。日本の植民政策は欧米の富の収奪を目的にするのとは異なり同化政策でした。どういう事かというと、朝鮮人を日本人化することです。

日本語を教え姓名も日本語化し、政治や社会体制も日本化するのです。鉄道の建設や学校の設立も積極的に進めます。自分たちの優れたと思う日本文化の強要ともいえます。元来、日本人はお人好しですから、そのことが朝鮮の人々のためになるし、喜ばれると勘違いしたのです。事実、朝鮮の近代化は日本の植民地時代に劇的になされました。

 

ところが、朝鮮の人たちは、日本の占領下の下で近代化が進み、暮らし向きが良くなったことを感謝するでしょうか。属国になったという屈辱に勝る恨みはありません。ここが良く理解できないことは日本人の欠点です。お金に困っている人に「俺の靴をなめろ!そしたら百万円をやる」そう言われて生命の危険を感じて靴をなめ百万円を貰えば当座の生活は豊かになりますが、その人は金をくれた金持ちに感謝するどころか屈辱を感じて恨むはずです。靴をなめろとまでは言わなくても、人に施しを受けて心から喜ぶ人は少ないでしょう。現在の韓国人の「反日」の根はすべてここにあります。

 

しかし、全世界史的に見れば弱い国が強い国の植民地になったり、滅ぼされる例は枚挙にいとまありません。日本も米国に戦いに敗け、原爆まで落とされ、植民地にこそならなかったけれど、いろんな意味で隷属関係にありました。

それでも日本人はアメリカに恨みを持っていません。それは日本人のお人好しな性格によるものと時間です。時の経過は嫌な記憶を薄めてくれます。ところが韓国はそうならなかったのです。第二次大戦の生存者が減って若い人たちが国の主流を占めるようになると、過去の恨みより未来が大事だと、両国民の間に交流が深まり改善が進んだのです。

おばちゃんの追っかけや韓流ドラマなど良い関係が出来、それが本当の友好関係になることがありますが、それを阻むものが韓国人の心の底にある恨みです.恨みは時とともに薄まるのが普通なのですが、それが表面化したのが領土問題と慰安婦問題です。

 

 私が子供の頃、両親の素朴な教育のせいか、中国人や朝鮮人に対する優越感から彼らを蔑視する風潮が日本人にはありました。私もそうでした。当然、それを感じる彼らの心の反発は内向します。ところが、今の若い人たちにはそのような感覚はないように思えます。そのことは私自身も喜ばしいことだと思っています。今の私にはそのような見方は恥ずかしいことだと考えます。

 

 さて、韓国が中国やアメリカの植民地になったとしたら日本に対する態度とは全く違うでしょう。韓国人から見たら中国が長男、自分が次男、日本は三男という位置づけです。この見方は頷けます。

日本の文明や仏教とうとうすべてが朝鮮経由で中国からもたらされたのですから。だから韓国から見たら遅れた国、自分たちより劣る人たちと錯覚しても仕方がありません。

あろうことか自分たちより劣った国が近代化をいち早く達成し、中国やロシアに戦争で勝ち、あまつさえ自分たちを植民地化したのですから胸がかきむしられる思いだったでしょう。

第二次大戦に敗れた日本が、このままつぶれていくと思いきや、経済的大発展をして、又もや韓国の手に届かない立場になってしまったのです。韓国人で一人も取っていない「ノーベル賞」も日本人は毎年の様に取っています。妬み嫉みが起きない方が不思議でしょう。李栄薫氏がこのような韓国人の心の奥底にある気持ちを強調せず、歴史的事実を検証して淡々と記述していることに感心します。